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犬の疥癬(かいせん)

犬の疥癬ってどんな病気?

疥癬はヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. canis)というダニによって引き起こされる皮膚の伝染性の感染症で、非常に痒みの強いのが特徴です。

このダニは、卵、幼虫、さなぎ、成虫へと1721日で成長していくと言われています。成虫は非常に小さく、0.2~0.4mmほどの大きさです。
ヒゼンダニは、表皮の中で生活しており、受精した雌ダニは1日に23mmの穴を掘り、その後ろのトンネルに卵を生むと言われています。
ヒゼンダニは毛のない皮膚を好むため、犬の耳、肘、お腹およびかかとでの赤み、フケ、脱毛などの症状が最も一般的です。


このヒゼンダニは人へも感染します。人への感染は直接接触後24時間以内に起こるとされ、特に体幹と腕の痒みが特徴的で、犬と接触しなくなれば12~14日で自然に良くなるとされています。
なお、ヒゼンダニは犬から離れた環境中では、最大21日間生存できるとされています。

▲犬の皮膚の図。表皮の中でヒゼンダニは生活する。

こんな症状があれば要注意

2歳未満の若い犬

・ペットショップ、ドッグラン、トリミング、動物病院に行った後の痒み

・病変(皮膚の赤み、フケ、脱毛など)がお腹、胸、肘、かかと、足、顔、耳にある

・背中に病変がない

・ご家族にも痒みがある

 

疥癬の症状は?

疥癬の最初の病変は、皮膚の赤いポツポツですがしばしば見過ごされることがあります。

ヒゼンダニの数と分布が増加すると様々なアレルギー疾患と似たような痒みがみられます。
しかし、アレルギー性の痒みと異なり、疥癬の犬の痒みはすぐにエスカレートし、症状が進行した犬ではとても激しい痒みを示すようになります。
それに伴い、皮膚は脱毛し、赤みを伴い、掻くことができない部位には黄色いフケが付着します。

犬がヒゼンダニに感染した後、どれくらいで症状を発症するかは不明とされていますが、通常数日で痒みが出ることが多いです。
初期の痒みはダニの数に比例し、ダニが増えると痒みはより重度になりますが、痒みの重症度が爆発するポイントがあり、この激しい痒みは感染後2130日に起こると考えられています。

 

疥癬の診断は?

プレドニゾロン(ステロイドホルモン剤)が効かない全身の痒みや、季節を問わず一年中痒い場合に疥癬を疑います。
疥癬の確定診断には、表皮を擦ることでヒゼンダニを検出することが必要です。通常、複数箇所から検査を行いますが、ヒゼンダニの検出率は低く20%から50%とされています。
そこで、全身に強い痒みがあり疥癬の可能性がある場合には、適切な疥癬の治療を行いこれに反応すれば疥癬と診断し、反応がなければ疥癬を除外するという方法(診断的治療 )を用いる場合もあります。

▲犬の表皮から見つかったヒゼンダニ(疥癬虫)

 

疥癬の治療は?

ダニの駆虫が必要です。疥癬の診断が行われるか疑われた場合には、すぐに治療を開始します。
なぜならば、ヒゼンダニは犬同士の接触で簡単に伝染してしまうからです。

過去の疥癬の治療では、石灰硫黄とアミトラズでの薬浴が最も広く使用されていましたが、現在はほぼ用いられることはありません。

その後は、アベルメクチンという薬で治療することが一般的となりました。
ただしこれらの薬剤は、疥癬の治療薬としての承認は得ておらず、コリー系統の犬種を代表とする遺伝子変異(ABCB1遺伝子)を持つ犬では、重篤な副作用(神経症状など)が心配されていました。

また、海外では疥癬の治療として、30日ごとのセラメクチンの投与が治療薬として承認を得ているそうです。
疥癬の治療ではセラメクチンを十分な量をきちんと被毛をかき分けて使用する必要があります。

最も新しい治療法として,イソオキサゾリン系の投与があります。
これらは、安全性も高く効果も十分に認められており、私見では今後の疥癬の治療の主流となると考えています。

ご家庭での飼育動物が犬一頭である場合には、その犬の治療のみで解決することができます。
しかし、複数犬がいる家庭では、症状が見られない場合であっても、全ての接触した犬を治療する必要があります。
これは、症状が出ていなくても、疥癬を保有している可能性があるからです。
もし犬が疥癬と診断され、ご家族にも痒みが存在する場合には、人の皮膚科を受診しましょう。

当院皮膚科では、疥癬が診断された場合にはもちろん、疑われた場合には疥癬を除外する意味で試験的治療を行うようにしています。
実際に、皮膚検査で疥癬が発見されなかった場合でも、試験的治療において、実は疥癬だと判明した事例も数多く存在します。

 そして、その際には安全性が高く、効果も高いと考えられているイソオキサゾリン系の治療薬を用いています。

 

新宿御苑前どうぶつ病院 皮膚科

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新宿御苑前どうぶつ病院 皮膚科
日本獣医皮膚科学会認定医
獣医師 春日 陽一郎

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